準補語(擬似補語)って何?基本5文型との関係と補語との違い!
今回は「補語(擬似補語)」についてお話します。
基本5文型でもお馴染みの「補語」ですが、似たような項目で「準補語(擬似補語)というモノがあります。この「準補語(擬似補語)」は、ざっくりというと「補語と同じ役割を果たすが、文中から外しても文が成り立つ要素」です。
これだけ聞くと「なんのこっちゃ?」という感じですが、今回の記事では、そんな「準補語(擬似補語)」について、分かりやすく解説してみました。
この記事の目次
補語とは?
本題の「準補語(擬似補語)」の解説をする前に、まずは「補語」についておさらいしようと思います。
ご存知の通り、補語は「第二文型と第五文型で使われる文の主要素」です。詳しく言うと「主語+動詞+補語」や「主語+動詞+目的語+補語」の「補語」の部分ですね。
■補語の条件
・主語や目的語の情報を補ってくれるモノ
・主語や目的語=補語の関係になる
※文の主要素なので第二文型や第五文型には必須
補語は文を構成する大切な要素なので、第二文型や第五文型では「補語を外すこと」ができません。
補語を使った例文
せっかくなので、実際に第二文型と第五文型の例文を見ながら補語をチェックしてみましょう。
●主格補語(第二文型の補語)
・He looks happy.
・彼は幸せに見える
・He (S) looks (V) happy (C)
⇒補語が主語の情報を補っている
・He (S) = happy (C)
⇒主語=補語が成り立っている
上記の例文を見ると、補語の条件を満たしているのが分かりますね。
○ He looks happy.
○ 彼は幸せに見える
× He looks happy.
× 彼は幸せに見える
⇒文として成り立たない
仮に先ほどの例文から補語を外してしまうと、英文として成り立たなくなってしまいます。
●目的格補語(第五文型の補語)
・He made me happy.
・彼は私を幸せにした
・He (S) made (V) me (O) happy (C)
⇒補語が目的語の情報を補っている
・me (O) = happy (C)
⇒目的語=補語が成り立っている
上記の例文を見ると、補語の条件を満たしているのが分かりますね。
○ He made me happy.
○ 彼は私を幸せにした
× He made me happy.
× 彼は私を幸せにした
⇒文として成り立たない
仮に先ほどの例文から補語を外してしまうと、英文として成り立たなくなってしまいます。
これら2つが、よく目にする一般的な補語になります。
ですが、今回の本題である「準補語(擬似補語)」は、補語と同じ役割を果たすのですが、文章から外してしまっても、意味が通じる文を作ることができます。
準補語(擬似補語)とは?
では、本題の「準補語(擬似補語)」について見ていきましょう。
今回、初めて「準補語(擬似補語)」という言葉を耳にした方もいらっしゃると思いますが、実はこの準補語は、学校では教わらないのですが、普通に会話で使われていたり、テストや試験などでも出てくるんです。
なので、準補語を知らない人が、初めて準補語が使われている文を見ると非常に混乱します。
そりゃそうですよね、だって初めて見る形の英文なんですから。。。
準補語(擬似補語)を使った例文
というわけで、早速、準補語が使われている簡単な例文をチェックしてみましょう。
●準補語(擬似補語)が使われている文
・He succeeded young.
・彼は若くして成功した
⇒補語の条件「He = young」が成り立つ
・The sun shines bright.
・太陽が明るく輝いている
⇒補語の条件「The sun = bright」が成り立つ
・He arrived safe.
・彼は無事に到着した
⇒補語の条件「He = safe」が成り立つ
上記の例文は準補語が使われている文なのですが、英語を勉強している人ほど、これらの文に違和感があると思います。
というのも、上記の文で使われている動詞は「完全自動詞なので、主語と動詞だけで意味のある文を作るのが基本的な使い方」だからです。
つまり、完全自動詞を英文に使う場合は、以下の例文のように「文中に補語は置かないのが基本の形」なんですね。
●準補語(擬似補語)を外した文
・He succeeded (young).
・彼は(若くして)成功した
⇒準補語の条件「He = young」が成り立つ
※ただし完全自動詞の文に補語は必須ではない
・The sun shines (bright).
・太陽が(明るく)輝いている
⇒準補語の条件「The sun = bright」が成り立つ
※ただし完全自動詞の文に補語は必須ではない
・He arrived (safe).
・彼は(無事に)到着した
⇒準補語の条件「He = safe」が成り立つ
※ただし完全自動詞の文に補語は必須ではない
ですが、実際の文を見ると「補語の位置」に「補語と同じ役割をする語句(準補語)」が置かれており、補語と同じ働きをしています。
補語と準補語(擬似補語)の違い
では、ここまでを踏まえて「補語」と「準補語(擬似補語)」の違いを見てみましょう。
●補語が使われている文
・He looks young.
・彼は若く見える
⇒補語の条件「He = young」が成り立つ
○ He looks young.
○ 彼は若く見える
× He looks young.
× 彼は若く見える
動詞「look」は不完全自動詞なので、補語「young」がないと意味の通じる文を作れません。
●準補語(擬似補語)が使われている文
・He died young.
・彼は若くして亡くなった
⇒補語の条件「He = young」が成り立つ
○ He died young.
○ 彼は若くして亡くなった
○ He died young.
○ 彼は若くして亡くなった
動詞「died」は完全自動詞なので、補語「young」がなくてもと意味の通じる文を作ることができます。
準補語の働き
●完全自動詞と準補語が使われている文
○ He died young.
○ 彼は若くして亡くなった
⇒準補語「young」はあってもなくても文が成立する
○ He died young.
○ 彼は若くして亡くなった
⇒準補語「young」はあってもなくても文が成立する
ですが、話し手が相手に伝えたいことは「彼が若くして亡くなった」ということなので、相手に情報を伝える上では「若くして(young)は文には欠かせない語句」です。
準補語(擬似補語)の使い方
ここまでをまとめると、準補語は「意味が通じる文を作る上では必須ではないものの、情報を伝えるという上では必要なものであり、補語と同じ役割を果たす語句」ということになります。
準補語を使った第二文型相当の文
準補語は文から外しても意味の通じる文を作ることができますが、外してしまうと相手に伝えたいことを伝えることができなくなってしまいます。
・She married young.
・彼女は若くして結婚した
⇒準補語「young」が無くても文は成立する
※ただし「若くして(young)」はこの文では重要な情報
・He came back a big star.
・彼は大スターになって帰ってきた
⇒準補語「a big star」が無くても文は成立する
※ただし「大スターになって(a big star)」はこの文では重要な情報
・He was born rich.
・彼は裕福に生まれました
⇒準補語「rich」が無くても文は成立する
※ただし「裕福に(rich)」はこの文では重要な情報
とはいえ、あくまで補語ではないので「型としては第二文型と同じ」ですが、基本5文型に分類することはできません。
準補語を使った第五文型相当の文
準補語は文から外しても意味の通じる文を作ることができますが、外してしまうと相手に伝えたいことを伝えることができなくなってしまいます。
・You can buy the fruits fresh.
・新鮮な果物を買うことができます
⇒準補語「fresh」が無くても文は成立する
※ただし「新鮮な(fresh)」はこの文では重要な情報
・She drink coffee black.
・彼女はコーヒーをブラックで飲む
⇒準補語「black」が無くても文は成立する
※ただし「ブラックで(black)」はこの文では重要な情報
・He washed his hands clean.
・彼は手をきれいに洗いました
⇒準補語「clean」が無くても文は成立する
※ただし「きれいに(clean)」はこの文では重要な情報
とはいえ、あくまで補語ではないので「型としては第五文型と同じ」ですが、基本5文型に分類することはできません。
準補語を使った特殊な第五文型相当の文
下記の文は第五文型の型を取っていますが、準補語とイコールの関係になっているのは、目的語ではなく主語です。
・He left his office exhausted.
・彼は疲れた状態でオフィスを出た
⇒準補語「exhausted」が無くても文は成立する
※ただし「疲れ果てた状態で(exhausted)」はこの文では重要な情報
通常、第五文型では「目的語=補語」になるのですが、準補語の場合、上記のように「目的語=準補語」だけでなく「主語=準補語」のパターンもあるので、覚えておくようにしましょう。
補語と準補語(擬似補語)の見分け方
補語を使った第五文型の文と準補語を使った第五文型相当の文との見分け方は、「文中から外すことができるか否か」です。
●補語は文中から外すことができない
○ The news made him surprised.
○ そのニュースは彼を驚かせた
⇒補語の条件「He = surprised」が成り立つ
× The news made him surprised.
× そのニュースは彼を驚かせた
⇒補語は外すことはできない
●準補語は文中から外すことができる
○ He ate the meat raw.
○ 彼は生の肉を食べた
⇒準補語の条件「the meat = raw」が成り立つ
○ He ate the meat raw.
○ 彼は生の肉を食べた
⇒準補語は外すことはできる
第五文型の型に当てはまる文を見かけた際に、補語の位置にある語句を外しても、意味が通じる文を作れる場合は、その語句は準補語か修飾語ということになります。
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では「準補語(擬似補語)」について解説してみました。この「準補語(擬似補語)」は実際の会話やテストなどでよく見かける表現ですが、学校の授業などでは教わらない項目なので、初見だと混乱してしまうかもしれません。
準補語が使われている文は「~しながら」や「~の状態で」という意味になるので、覚えておきましょう。
【一生使える本物の英語力を身につけたい方へ】
これまでいろいろな英語学習法を試してきたけど「英語の上達が実感できない」、英会話スクールやオンライン英会話をやっているのに「全然英語を話せるようにならない」、そんな経験したことないですか?
実は英語力って、なんとなくフワフワした感じでも、ある一定のレベルまでは上げることができるのですが、実践で使える本物の英語力を身につけるには「基礎からしっかり積み上げないとダメ」なのです。
私も大学を卒業後、海外のドラマや映画を翻訳する仕事に就きましたが、仕事の場で使う英語では「なんとなくの英語力」では通じず、大人になってから英文法の基礎、それこそ「基本5文型」から勉強をやり直しました。
その結果、それまで「曖昧だった表現」や「ネイティブが使い分けている細かい言葉選び」などの違いが分かるようになり、現在はそのノウハウをまとめて、英語コーチとして英語を学びたい大人の方に向けた指導を行っております。
オリジナル英会話教材 ⇒ ネイティブ感覚式英文法(大人のやり直し英文法)
英語は、年齢に関係なく誰でも習得することが可能です。もし、あなたが「実践で使える本物の英語力を身につけたい」「基礎からしっかりと英語を学びなおしたい」、そう思っているのであれば、地道な努力が必要ですが、ぜひ、当講座を通じて「英語を習得した後の世界」を体感してみてください。